7月1日から、仮想通貨による取引の消費税が非課税になりました。日本では、切手や小切手、電子マネーなど決済の手段に使われるものは原則非課税となっています。しかし仮想通貨(主にビットコイン)は、決済機能があるにもかかわらず、法的な位置づけもなかったので、『モノ』として扱われてきました。
『モノ』を購入すれば消費税がかかります。仮想通貨はモノという位置づけだったので、売買すれば消費税がかかります。コインを円に交換して何かモノを買うと、またそこで消費税がかかります。いわゆる二重課税です。
今回の法改正で仮想通貨は決済手段の一つとして認められたわけですが、しかし何らかの価値をもつ資産としての『モノ』という位置づけはそのまま残っています。仮想通貨が誰かに相続された場合や、企業が仮想通貨で得た利益はどのようになるかは、まだはっきりしません。
仮想通貨はいまだに完全に『貨幣』として認められていないのです。どのように発展していくのかは、まだまだ不透明です。
また、仮想通貨には中央銀行のような管理者がいません。それが魅力の一つともいえるのですが、それゆえに匿名性が高く、マネーロンダリングや麻薬密売などの不正に利用されやすいという負の側面ももっています。
数年前にはアメリカのビットコイン普及促進団体『ビットコインファンデーション』の副会長がマネーロンダリングに関与したとして逮捕されました。また、違法薬物の闇取引をおこなっていたインターネット市場『シルクロード』では支払いにビットコインが使用されていました。
運営者は麻薬取引、ハッキング、資金洗浄など複数の容疑で逮捕されています。また、ISの資金調達に利用されているという報告もあります。今後は、こうした不正を誰がどうやって取り締まるのかが問題になっていくことになるでしょう。
最近になってビットコインには構造的な問題も持ち上がっています。ビットコインはブロックチェーンという技術に支えられています。この技術のおかげで中央集権的管理者がなくても運営が可能なのですが、ここ数年でビットコインの取引が増大したため、処理するデータ量も依然とは比べ物にならないくらい増えました。
いまのブロックの容量では収まり切れなくなるなる可能性があるのです。解決方法としては、ブロックチェーンの容量そのものを大きくするか、現在のブロックサイズのまま、圧縮して容量をおおきくする2通りの方法があります。
しかし、ブロックチェーンの容量を大きくすることについては、賛成派と反対派が真っ二つに分かれており、ビットコインが2種類に分裂する可能性が出てきます。そうなると、価格の暴落など大きな損害が出る可能性があります。
7月23日では、ソフトウェアを更新することで一応落ち着いたようですが、またいつ再燃するかわからない危険性をはらんでいます。
ビットコインを始め、仮想通貨がどんな存在になるのかはまだわかりません。まだ発展途上であり、不安定な状況にあることも事実です。投資目的で購入する場合は、よく考えたほうがいいでしょう。
-補足-
ビットコインは結局分裂しました!ビットコインキャッシュという新しいコインが発行されています。しかし、ビットコインの価格は下がるどころかむしろ高騰しています。取扱いを見合わせていた取引所や、決済を中止していた店は取扱いを再開したようです。ビットコインキャッシュはいまのところ、それほど人気はないようです。