鬼才フランソワ・オゾン、双子モチーフのサスペンスで新境地「誰もが二面性を持っている」

8/4(土) 11:06配信

シネマトゥデイ

 『スイミング・プール』『8人の女たち』などのフランソワ・オゾン監督が手掛けた心理サスペンス『2重螺旋の恋人』(公開中)。サスペンスの名手として知られるオゾン監督が双子と精神分析をテーマに、新境地に挑んだ意欲作だ。

映画『2重螺旋の恋人』予告編【動画】

 同じ容姿を持ちながら性格は正反対の双子の精神科分析医との禁断の関係に陥っていく女性の姿を、鮮烈な映像美で描き出した本作。その重要なモチーフとなる双子の存在についてオゾン監督は「私がかねてから双子に関心を持っていたのは、彼らが自然の生み出した驚異であり、傑作だと思うからです」と語る。そんななか小説家ジョイス・キャロル・オーツの短編が着想を与えてくれたのだという。「彼女はオーツのほかにロザモンド・スミスというペンネームを持っていて、異なる作風の作品を手掛けています。2つのアイデンティティーを使い分けている彼女が双子についての小説を書いていたことを知って、このテーマを展開するのにふさわしいと思ったんです」。

 本作のヒロインは原因不明の腹痛に悩む25歳のパリジェンヌ、クロエ(マリーヌ・ヴァクト)。婦人科医に紹介された精神分析医ポール(ジェレミー・レニエ)を訪ね、診察を重ねるうちに二人は恋人関係に発展するが、あるとき彼女はポールとそっくりなルイ(ジェレミー・レニエ)を見かけ、彼も同じく精神分析医だと知る。そして新たにルイの診察を受けるうちにクロエは、ポールとは似て非なるルイとも肉体関係を持つようになっていく……。

 双子の男性の間で揺れ動く女性を主人公にすえる本作だが、この“双子”には比喩的なニュアンスも込められており、彼女が自分の中に隠し持っていた二面性を発見する物語でもある。「このスリラーは、彼女が自身のミステリーを解く物語でもあるんです。精神分析を通じて最終的に彼女は自身の問題の原因を発見するわけですが、彼女の持っている二面性というのは普遍的なものなのだと思います。誰しも心と身体が離れているような両面性を抱えているわけですね」。

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引用:鬼才フランソワ・オゾン、双子モチーフのサスペンスで新境地「誰もが二面性を持っている」