ブロックチェーンの特長は、
1.データの改ざんが困難で不正がおこりにくい
2.中央集権的管理者がいないので、取引内容が公開されている
3.人件費や管理費が安くすむので必要経費のコストダウンにつながる
があげられます。これらの特徴は銀行など金融関連企業だけでなく、世界中の政府も注目しており、早くも導入始めている国もあります。
いち早く行政システムにブロックチェーンを取り入れたのはエストニアです。エストニアは、もともとIT教育が盛んな国でした。いまや世界中にユーザーがいるSkypeはエストニアが発明したものです。報道自由度ランキングでも上位にあがっています。
海外からもIT関連の企業が進出してきています。エストニアは早くから行政システムのデジタル化を勧めており、『eストニア』とよばれることもあるほど、世界でも屈指のIT大国です。ブロックチェーンを導入したことで、様々な手続きが迅速に低コストで行われるようになりました。
エストニアの国民はIDカードを持っています。このIDカード一枚で、選挙、納税、銀行での手続きなどがあっという間にできてしまいます。会社を設立する場合、20分ほどですべての手続きが完了してしまうそうです。改ざんの困難なブロックチェーンを利用することで、他人のデータの不正利用も防ぐことができます。
エストニアは税理士、会計士という職業はほとんどなくなってしまいました。IDカードを使って簡単な手続きをするだけで納税はあっというまに終わってしまうからです。
少し前までグルジアと呼ばれていたジョージアもブロックチェーンの導入に積極的です。土地や自動車など財産の所有者を証明する管理台帳にブロックチェーンを利用することを発表しています。ただ、膨大な量のデータをすべて記載するのにはかなり時間がかかりそうです。
ドバイは2020年までに政府の公式文書をすべてブロックチェーンで管理する計画を進行中です。ゆくゆくは、国民の健康管理やダイヤモンドの取引履歴などもブロックチェーンで管理することになるようです。
アフリカのガーナでも土地の登記にブロックチェーンを導入することを検討しています。ガーナは土地の所有者がはっきりしていないことが多く、不正利用も横行しています。ただ、いまのところ思うように資金が集まらず、難航しているようです。
こうしてみると、ブロックチェーンを行政システムに積極的に利用するのは、資源の少ない小さな国や発展途上国が多いのがわかります。
しかし、先進国も手をこまねいているわけではありません。ベルギーのアントワープ市は行政サービスにブロックチェーンの導入するための適用実験を開始しました。この実験には日本の企業テックビューロが技術を提供しています。
スウェーデンもエストニアを参考に、不動産取引をブロックチェーンで行えるように技術開発を進めています。ロシアは仮想通貨の取引が発覚すると罰せられるほどの仮想通貨嫌いでしたが、中央銀行が分散型台帳の実証実験を始めたり、ビットコインを違法としないという声明を発表するなど、急激に態度が軟化しています。
ブロックチェーンの導入を進めているのは上記にあげた国だけではありません。日本でも凸版印刷が他の企業と共同でブロックチェーン検証実験を進めています。ブロックチェーン企業への投資熱も加熱しています。
ブロックチェーンが世界のあり方をどのように変えていくのか、目が離せませんね。