前回記事では相場の流れは必ずしもファンダメンタルズと一致しない。特に株価が相場と連動した場合に、ズレが生じるということを書かせていただきました。ただ、常に一致しないという話ではなく、中長期的には何となく一致しているようにも見えます。
例えば、ファンダメンタルズの観点からは、金利水準やリスクの変化が評価水準(PERやPBR)を変化させると考えます。実際、「金融相場」などと呼ばれる金利の低下に伴って、全体が連動して株価を上昇させることがありますし、大方の予想に反して今年になって株価が上昇した現象もこの一種です。概ねファンダメンタルズを反映した動きと言えるでしょう。また、「中国とアメリカが貿易戦争を始めてしまい、先が見えなくなってきたことから、リスクが大きくなり、株価が下落した」昨年末のように、リスクの変化が相場全体に変動をもたらす場合も、概ね、株価とファンダメンタルズが一致して動く現象と言えます。
違うのは金融相場(金利の低下に伴う上昇相場)や波乱相場(リスクの増大に伴う下落相場)に乗じて、投機的な動きが活発化してしまい、株価水準を異常なレベルにまで高めたり(バブル)、落としたりする現象が発生することです。短期的な視点からは大きく崩れる需給バランスに乗じて、投機的な判断をする方が合理的に思えるのですが、長期的な観点からは到底合理的とは言えない異常水準まで株価を振り上げたり、叩き落したりしてくれるのです。
この現象があるので、私の提唱する「割安かつ成長株」などという普通はあり得ない投資法が成立しうるのです。
波乱相場においては、例えばとても順調な企業が先の明るいIRを発表したタイミングを狙って、から売りを仕掛けるようなケースがあります。期待に胸を膨らませたホルダーの希望の腰を叩き折って、絶望売りを誘うような戦略ですね。
私は私の本の中で、バリューエンジニアリングを応用した4つのパターンを説明しました。
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その中で「業績↑株価↓」は有効性◎と書きましたが、これなんかがまさにそれです。長期的視点からは大チャンスと言えるわけです。
ただし、少し解説が必要なのは、短期的には絶望売りが優勢となってしまい、チャートも崩れて、ホルダーには精神的につらい状況が数ヶ月間も続くケースがあることです。こういう時こそ辛抱のしどころです。この状況が続けば続くほどファンダメンタルズの観点からはチャンスが広がっているわけですから、決して損きりするのではなく、むしろ買い増しが狙えると言えるでしょう。
もう一つ注意点があるとすれば、株価水準です。いくら「業績↑株価↓」が有効性◎と言っても、利益成長が10%以下なのにPERは50倍みたいな企業については、対象外です。1/2~1/3程度まで株価を落としてしまうこともあるでしょう。ウォーレン・バフェットやピーター・リンチが教えてくれるように妥当な株価以下の水準で買うのであれば、おそらく下げは20~30%程度で済み、買い増しの大チャンスが訪れるのです。(その20~30%の下げが苦痛で耐えられないタイプの人は長期投資は向かない)
今朝は「人に騙されてムカついた気持ちでその場を離れると、対岸に無数の蛍が光っている」という夢を見ました。
「そうそう、相場に騙されたような時こそ、先に無数の光が灯るんだよな。」
そんなイメージをもってこのブログを書いた次第です。
本日も、参考になりましたら、
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