昨日の続きです。
ケリー基準でいけば、最適な個別株の保有割合はエッジ(期待値)をオッズ(最大利潤)で割ることによって得られるとの事でした。
最適保有割合=エッジ(期待値)÷オッズ(最大利潤)
もし、期待値は10%ながら、最高にうまくいけば、3倍高の大化けが期待できる株を保有する場合、
最適保有割合=エッジ10%÷オッズ2=5%
となります。3倍高なのにオッズは2とするのは、3倍から元の掛け金を差し引いた儲け部分は2倍という意味です。ただ、実際に3倍高を取れた人は良くわかると思いますが、結構な割合で税金が引かれていきます。ざっと20%ですから、実際のオッズは2×0.8=1.6とした方がよいでしょう。
最適保有割合=10%÷1.6=6.25%
さて、この基準を利用した場合、私がやってきた成長株投資のエッジやオッズをどう導いたらよいのでしょうか?
まず、私はこんなことを考えました。
なんだかんだ言って、効率的市場仮説は概ね正しい。どうあがいても市場に勝つのはなかなか難しいと考えると、エッジは市場平均のリターン(仮に5%とする)が妥当なのではないか?次に自分自身が考えるベストなシナリオ。例えば、年率20%成長が期待できる株については、オッズを20%とするべきではないか?
最適保有割合=エッジ5%÷オッズ0.2=25%
ただし、税金が引かれるので、エッジは5%×0.8=4%、オッズは0.2×0.8=0.16として、
最適保有割合=エッジ4%÷オッズ0.16=25%(※分母分子に0.8をかけるだけので答えは同じ)
こんな感じでしょうか?
通常、私は年率15~25%程度の成長が見込める株を狙っていきますから、馴らして20%平均と考えると、ピーターリンチがいうところの5のルール(5~10銘柄程度に集中投資をするとちょうどいいという経験則)はケリー基準的にはやや控えめな保有割合ということになります。
もっとも、私の場合は保有期間を1年ではなく、3~5年程度の長期保有を前提に考えますので、その前提で保有割合も検討した方がよいかもしれません。馴らして4年平均と考え、エッジは5%を4年間複利計算し、税金を差し引いた17%、オッズは10%~50%までの年率成長を前提に税金を差し引いて表を作ってみました。
この計算で行くと、年率20%成長が期待できる株を3~5年平均で保有する前提であれば、1銘柄たりの保有割合は20%が最適となり、ピタリと5のルールが当てはまることになります。(なんだ、今までので正しかったのか…。)
ただ、この表をよく見ると、「年率50%もの高成長が期待できる成長株の投資割合は5%に控えろ」と直感に反する解が出てきます。「年率50%なんて、身の程知らずも良い所だ…。そんな成長すぐに崩れて大暴落も十分ありうる。だから5%くらいにしときなさい。」という考えもありますので、これはこれである意味面白い示唆と言えます。
ただ、数学的に言うと、325%ものオッズを含んでいるエッジがたったの5%というのはちょっと極端な感じがします。
通常、私は成長率と同じくらい割安さを重視して株を買うことにしています。グロース投資の考えにバリュー投資を組み合わせているのです。仮にあるべき株価の1/2水準で株を買うことが出来れば、年率成長に加えて、割安さの是正による株価上昇が2倍程度期待することが出来るため、非常に大きなリターンが狙えます。おおいに掛け金を高めたいところですが、この計算方法だと同じ理由で保有割合をむしろ下げないといけません。(以下の表参照)
どうやら、もう少し、別な考え方を取り入れないとうまくないようです。
(つづく)
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