今日の日経新聞1面「チャートは語る」で、2つの興味深いチャートが掲載されていました。一つはバブル崩壊以降の30年間の日経平均株価のチャートと、同じ期間の日経平均採用銘柄のPERが15倍だった場合との比較チャートです。
日経新聞「チャートは語る」(日経新聞の読者でないと読めませんが…。)
このチャートを見ると、バブル時はPER15倍チャートをはるかに超えて高かった実際の日経平均株価は、2003年頃まで下がり続けた結果、PER15倍チャートにずいぶん近づいたことがわかります。2003年以降は、概ね実際の株価とPER15倍チャートは連動しており、この3年ほどはむしろPER15倍チャートを下回っています。
ここから分かることは二つ。
①近年、株価はファンダメンタルズを素直に反映しやすくなっている。②過去30年、日本企業のファンダメンタルズは概ね拡大傾向にある。
もう一つの興味深いチャートは、2000年~2009年にかけての日経平均採用銘柄の平均PBRとその後10年の株価騰落率を比べたものです。これを見ると、日経平均のPBRが1倍前後のタイミングで買えば、その後10年程度のリターンは2倍以上が期待でき、逆にPBRが2倍を超えているタイミングで買うと、その後10年間のリターンは概ねマイナスに沈んでいたことを示しています。
近年、バランスシートに乗ってこない見えざる資産の価値が高まっていることや、資産の蓄積の進んでいない小型株においてはPBRはそれほど重要な指標ではないため、個別株投資にこの指標がそのまま、使えるとは思いませんが、③現在のPBR1.17倍水準は、かなり有利な状況と言えるでしょう。
(暴落後は)多くの銘柄は純資産価値から株価を算定した方が妥当になるだろう。日経平均は次第に底練りと呼ばれる独特のチャートを描くようになり、さらなる悪材料が飛び出しても株価はあまり下がらなくなる。こうなると私のようなバリュー投資家にとっては絶好の買い場が到来したことになる。それから3~5年後の運用成績は、この時期にどれだけ良い銘柄を仕込めるかにかかっていると言っても過言ではない。(エナフン流株式投資術 日経BP社)
この本では、株価が大きく下がった場合に絶好の買い場がくると説明しましたが、日本企業のファンダメンタルズが大幅に改善しているにもかかわらず、株価が動かない状況が続くことでも同じことが起こると言えます。
私が提唱するVE投資法でいえば、業績↑、株価→の状態が続くことでも、ファンダメンタルズと株価の乖離がどんどん進み、場合によっては底練りに近い投資環境が生まれると言えるでしょう。
今年はそんな年だったのかもしれません。本当に東京五輪後は深刻な景気後退がやってくるのでしょうか?①~③はそうではない。あるいはそれが来たとしても長期的に見ると大した問題ではない。そんな可能性を示しています。
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