2020-05-04 08:47 | カテゴリ:勉強や投資情報
『ウォール街のランダム・ウォーカー』のまとめの続きです。
第一章 株式投資の二大流派
第二章~第四章 過去のバブルについて
第五章~第七章 テクニカル分析とファンダメンタル分析について
第八章~第九章 学者の投資へのアプローチ(MPTとCAPM)について
第十章 行動ファイナンス学派の新たな挑戦
第十一章 「スマート・ベータ」と「リスク・パリティー」
第十二章~第十五章 最後のまとめ

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章ごとのまとめを毎回公開していきますが、ぶっちゃけ、5行で超要約すると
・過去のバブルを通して人間の愚かさを説明
・投機家のテクニカルは宗教で論外と、侮蔑を持って否定
・投資家のファンダメンタルは主義でお手並み拝見と、遠慮を持って否定
・学者の現代投資理論は一考の価値ありだが、敬意を持って否定
・結果、インデックスファンドのドルコスト平均法による長期運用こそ至高の投資法

で、これだけ読んでも三日後には忘れてますよね。なのでなぜ上記の考えに至ったかの詳細を知る事が大事だと思います。
※インデックスファンドのドルコスト平均法とは、分散投資+時間分散で究極にリスクを減らした投資法ですので、逆に言えば究極に儲からない事はシミュレーションしたら一目瞭然で、100万を1000万にするとか不可能な事は知っておいてください。また、好景気の時に始めて、平均取得単価が高い期間が長いと、損失期間が長く、時間を相当無駄にする事になるので注意です。

また、本書を読む時の注意点として、様々な検証結果や数字が示される事はありますが、テクニカルアナリストは『統計は嘘をつかないが、統計使いは統計を使って嘘をつく』状態であるのと同様に、著者自身も、まさに『統計は嘘をつかないが、統計使いは統計を使って嘘をつく』状態ではないだろうか?という疑問符は常に付きまといます。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』まとめ 第二章~第四章 過去のバブルについて

※青文字は本著に書いてある事でなくて、塩漬けマンの捕捉説明や意見

第二章 市場の狂気

第一章で砂上の楼閣(バブル)について説明されたのに続いて、第二章ではその詳細について紹介しています。

・オランダのチューリップバブル

チューリップがウィルス性の病気になった時に花に現れる変わり種の模様に価値が見いだされ球根が高騰。さらに、その売買にコール・オプションが利用され(=少ない金額で多大な利益=レバレッジ)被害が甚大に。

・イギリスの南海会社バブル

大英帝国の繁栄により金余りになっていたが、当時投資機会がなかった。東インド会社の株主になれたのはたったの499人。国民に投資機会を与えるために作られた国策会社が南海会社で南米貿易を業務に掲げ、IPOでは1000万ポンドのイギリス国債を買い取る代わりに、国債保有者の国債を株式と交換。国王から農民までIPO投資に夢中になったため、南海会社でも人々の投資資金を吸収出来ずに、次々荒唐無稽なベンチャー企業(永久に回る車輪の開発(=永久機関)・鉛から銀の抽出等、不可能な事を行うベンチャーならまだましな方で「何をするか分からないけど、とにかく儲かる事をする会社」と目論見書に書いてるだけの会社もあった)が無数に誕生し、バブル(泡)のようにすぐに消える中、それらのIPOは延々と買われ続けた。IPOバブルの大元の南海会社は業務で失敗ばかりしていたのに、株価が短期間でテンバガーしていた。流石に今の株価はあり得ないと、会社役員が密かに持ち株を売り抜けた事がスクープされバブルは崩壊。一瞬で南海会社の株価は1/10になった。
被害者にはニュートンもいた「私は天体の動きは計算出来るのだが、人間の狂気ばかりは測りきれなかった」
→イギリスでバブル防止法が制定されIPOが禁止、廃止されるまでの一世紀以上、イギリスで株式市場は衰退

・アメリカのウォール街が生んだバブル(※1929年世界恐慌の引き金になったウォール街大暴落の事

当時繁栄の極みにあったアメリカでは事業者が神格化されていた。キリストですら「人類最高の事業者であり、彼の説法は全時代を通じて最高のコマーシャルだった」と言われ、アメリカ大統領は「アメリカのやるべきビジネスはビジネスである」と言った。会社の株価は軒並み高騰する中、悪質なプーリング操作(株価操縦)が横行した。
密かに何人かのトレーダーが手を組んで人知れずA株を買い集める。取引所のブローカーを仲間にし、さらに取引所のマーケットメイカーを仲間にする。仲間のトレーダー同士でA株の架空売買を繰り返し株価を吊り上げる。注文を出すブローカーとマッチングするマーケットメイカーが仲間なので簡単に株価は上がり続ける。これらの売買は証券会社の店頭でティッカーテープを通じて一般投資家に見られて、値動きから注目され始める。そこでトレーダーに買収されている予想屋や市場解説者がA株を買い煽り、一般投資家が自分も買おうと殺到するタイミングで、トレーダーは少しづつ売り始めて、全部売り抜け巨万の富を手に入れた時には、高値掴みした一般投資家と暴落した株価が取り残される。
※ブローカーとマーケットメイカーがいないだけで、まんま、今の日本の糞株で行われている仕手戦と同じじゃないですか。
※これらのトレーダー仲間(仕手メンバー)の中には、なんと、仕手化させようとする会社の経営者までいて、さらに経営者なので決算の内容が分かるので、それが良くない場合、経営者は仕手メンバーを裏切って空売りで密かに一人儲けてたりした例もあったそうです・・・完全にインサイダーじゃん
投資信託は通常ファンダメンタル価値を平均して10%~20%下回る水準で売買されるが、当時2~3倍の天文学的高値で売買されていた事からも、当時バブルが発生していた事は明らかである。
このバブルが弾けた原因は連銀による投機規制のための金融引き締め(利上げ)とされているが、より直接的な原因は数年前からバブル崩壊を予言していたロジャー・バブソンの「早晩破局が訪れる」という昼食会での発言だった。
当初、ウォール街のプロ達は「また言ってるのか」と嘲笑するが、ダウ・ジョーンズのニュースとして国内の証券会社で流れると、株価は下落に転じた。
これは「バブソン・ブレーク」と呼ばれ、四日間に渡って記録的な暴落をし、さらに一か月間暴落は続き、アメリカの景気低迷をもたらし、世界恐慌に繋がり、3年間株価は下げ続けた。

なぜ人間の記憶は短命なのか。なぜ繰り返される投機ブームは過去の教訓を生かさないのか。
市場で常に損をする人達は大小様々のチューリップ・バブルの魅力に抵抗出来ないタイプの人間である。
株式市場で金儲けをする事は実際そう難しいことではない。難しいのは短期間に手っ取り早く金儲けをしようという投機にお金をつぎ込む誘惑を振り払うことである。
この当たり前の教訓は当たり前に忘れ去られる。

第三章 1960年代から90年代にかけてのバブル

・黄金の60年代

「成長」という魔法の言葉・・・ファンダメンタル価値理論では全く正当化されない高値でも、「成長」というマジックワードで売買された。
「成長」は業績でなく社名が鍵・・・当時のIPO株はその業務内容に関係なく、ほとんどの会社がエレクトロニクスをもじった社名をつけていた(=トロニクス・ブーム)。理由はなんとなく成長しそうな社名になるので、それだけで株価が倍になるから。
※さらに誰にも理解出来ない言葉が社名になっていたら、神秘度=成長期待が増して、さらに株価は倍になった
このようなIPOは中小の証券会社が主幹事証券になっており、詐欺的手法であるにも関わらず、IPOは必ず儲かると堅く信じる投資家が殺到し、主幹事証券はどう売さばくかではなく、どう割り当てるかという人気ぶりだったが、その主幹事証券の多くが詐欺行為で営業停止になり、トロニクスブームは二年で瓦解した。

「成長」の次は「シナジー」(2+2=5)という魔法の言葉が誕生・・・新たな主役「合併」の登場
合併によるシナジー効果を理由に合併する企業の株価が上がった。
しかし、そのシナジーは会計トリックによって1株益が上がっているように見せかけているだけだった。
※買収&IFRSと手法は違うけど、やってる事はまんまライザップですね
しかも、例えばエレクトロニクス企業(PER20倍)と、地味な成長しない企業(PER10倍)が合併した場合、なぜか新会社はPER20倍の株価がついた。
しかし、度重なる合併で株価を10倍にしていた企業が減益決算を出した事で、投資家は夢から覚め、2+2=4になっている事さえ疑わしい事に気づいた。
連邦取引委員会とSECが疑わしい合併の調査を行う事を発表し、合併ブームは終焉を迎えた。
しかし、投資家の強欲さは恐ろしく、今度は合併を解消した企業の株価が上がる現象が起きるようになった(=脱合併化ブーム)。

「シナジー」の次は「パフォーマンス」という魔法の言葉が誕生・・・ストーリーを売るコンセプト株の高騰がパフォーマンスの源泉
ファンドは素晴らしい投資成績のパフォーマンスを宣伝し多額の資金を集めた。
彼らはどうして短期的とは言え高いパフォーマンスを上げれたのか・・・彼らがファンドのPFに組み入れていたのがコンセプト株だった。
コンセプト株は投資家が熱狂するようなストーリーを提示している会社であり、例えそのストーリーが実現しなくても、平均的な投資家を騙せるレベルであれば十分で、株価は上がった。
※ユーグレナ・JIG-SAW・Kudanみたいですね
これらのコンセプト企業は立派なストーリーとは反対にお粗末な中身で、黒字化すら出来ず粉飾決算に手を染め、その多くが消えて行き、コンセプト株ブームも終焉を迎えた。

・低迷の70年代

新興小型株で痛手を負った機関投資家は真逆のブルーチップ(優良大型株)に群がった。
理由は
〇健全な投資への回帰が叫ばれていた
〇大型優良株は暴落はしない
〇PFを組み替える作業から解放され、買ったら延々放置でよくゴルフでもしてても毎年確実なリターンが保証される
〇例え損失を出しても、新興株を買って損をした時のように罵倒される事はない
特に人気があった優良成長大型株は「ニフティ・フィフティ」(素晴らしい50銘柄)と呼ばれ、機関投資家が買い漁り、PER100倍近く上がり、それは例え優良成長株であったとしても大型株では許容されてはならない株価水準に達していた。
=ニフティ・フィフティバブル
→勿論弾けて、暴落と長い調整で、優良大型株は見向きもされなくなった

・狂乱の80年代

再びIPOブームがカムバックした。
しかし覚えておいて欲しい、IPOの売り手の大半はその会社の経営陣であり、自分の会社の株式を売るのは、業績がピークに達した時か、流行に乗せられた投資家の熱狂が最高潮に達したタイミングで行われるのが常である事を。
事実、IPO銘柄の投資パフォーマンスは市場平均を下回っているのだから。

最後に日本のバブルも紹介されています。
日本の首都圏の土地を売っただけでアメリカ全土が買えた話(別の本やネットではアメリカが二個買えたって言われてるけどね)とか出てきましたが、あくまで株価に焦点が当てられていました。
PER60倍や配当たった0.5%で、ファンダメンタル価値を信望する人々に取っては目のくらむ思いだっただろう、とか書いてありました。


第四章 21世紀は巨大なバブルで始まった

過去のバブルも21世紀に起きた二つの巨大なバブルに比べればたいしたものではない。
インターネットバブルと住宅バブルである。

・インターネットバブル・・・過去のバブルが全部まとめていっぺんに起きたようなバブル
バブルは新しいテクノロジーの出現か、新しい事業機会の到来で起こるが、インターネットバブルはその両者で起きた。
それはニューエコノミーと言われ、否定しようものなら、既にそれで利益を得ている投資家から時代遅れと蔑まれた。
※仮想通貨で儲けていた人が、否定派を「時代遅れの妬み」って蔑んでいた時みたいですね。
ハイテク関連銘柄が中心のナスダック株価指数はたった2年で3倍以上に暴騰し、PERは100倍以上に達した。
バブルはシスコのようなインターネット企業の優良株と言われた企業にも及んだ。
シスコのPERは10年15%で成長したとしても割高で、しかもそれが25年実現したらアメリカ経済全体よりも大きくなってしまう計算になる程上がった。
バブル崩壊後、優良株にも関わらず、シスコの株価は当然1/8になった。
また、トロニクスブームは再来し、今度はインターネットと関係ない企業が「~ドット・コム」「~インターネット」と社名変更するだけで株価が倍になった。
また、IPOブームは再来し、投資家はインターネット関連のベンチャー企業に群がって投資したが、それらの多くが南海バブル時にIPOした会社同様、インチキ会社ばかりだった。
また、証券アナリストも全力で買い煽り、彼らはテレビに出演してプロスポーツのヒーローや、ロックミュージシャンのスターのように扱われ、「ネットの女王」「ヘンリー大王」「テレコムの導師」などという二つ名が与えられ、彼らが買い煽る度に株価が上がって行った。
彼らは言った「業界がビックバンの段階にある時、伝統的な株価評価尺度は全く意味がない」「今は無謀と思われる行動が合理的な局面なのです」
勿論、彼らはバブル崩壊後、脅迫され、集団訴訟され、罰金を受け、証券会社を解雇され、ウォール街の信用は地に堕ちた。
※まんま仮想通貨で同じような現象起きてましたね。
インターネットバブルでは売上や利益などは全く重要でないと無視され、従来の投資評価尺度とは全く異なる新しい基準が生み出された。それはサイトの「ヒット数」であり、「真剣なビジター」の数であり、「マインド・シェア」であった。
※サブスクバブル下で生み出された40%ルールみたいっすね
メディアも株式情報一色になる、街頭等あらゆる所で放送され、ポルノ番組まで株式を扱い、株をやっていない者は愚か者扱いされ、1000万人ものデイトレーダーを生み出したが、彼ら、特に売買頻度の多い者ほど一貫して負け続けており、その平均生存期間は六か月であった。
インターネットバブルがもたらした最大の悪夢が約6兆円以上の時価総額が瞬く間に消失したエンロンの倒産であった。エンロンはさながら、シナジーバブル(合併バブル)の時のように、多数の企業と「パートナーシップ」を結び、その合弁事業で上がるはずの利益を担保に借金をし、それを会社の利益に計上していた。ただの一つも実際に利益を上げる合弁事業はなかったのにだ。エンロンに取って「経営」とは人を騙す事と同義だったが、それは全体の氷山の一角で、あらゆるネット企業が不正会計で利益を水増ししていた。
※アルトコインのICOみたいっすね。プロジェクトによっては何十億も数日で集めたけど、収益を上げてるプロジェクトってあるんですかね・・・

・住宅バブル・・・本著では詳細に説明されてたけど、これは流石にみんな知ってるので省略

・仮想通貨バブル・・・これもみんな知ってるので省略。特に新しい情報もなかったし。尚、著者は価格が安定していない点が通貨としての要件を満たしておらず、万が一暗号が突破されたら直ぐに価値は暴落するだろうし、結局は他のバブルと同様いつか破綻するだろうとしています。

これらのバブルを見ていくと、効率的市場仮説は間違っていると思うかもしれないが、決してファンダメンタル価値など当てにならないと結論付けてはいけない。
市場は時として短い期間、砂上の楼閣(バブル)を築くが、長く続く事はなく、結局は「本来の価値」に収束し、いつか必ず「正しい価値」が支配するのだ。
しかし、それはプロであっても正確に予測出来ないが故に投資は難しいのだ。
また、明らかに間違ったバブル価格であっても買う事が経済的に合理的な投資行動であるケースもある。
事実、住宅バブルの時、頭金ゼロで住宅が購入可能であり、もし価格が上がり続ければ万々歳だったし、下がっても、貸し手(最終的には政府)に鍵を渡して逃げる事が出来たのだから。

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でもバブルって初動で乗って、弾ける直前に売り抜けるのが一番儲かる気がするんですが、問題は、
・バブルはバブルだと気づかないから起こる
・バブルだと気づける賢人はバブルに乗れない
って点で、以下が必要となります。
・多くの人がバブルだと気づかないのに気づける才覚
・バブルと気づいて「馬鹿だな」って理性で考えても、本能でも他人より早く乗れる行動力
・他人がバブルだと気づいて崩壊する寸前で売り抜けるセンス

後、この著者が徹頭徹尾、至高の投資法と主張しているインデックスファンドこそ、今正にバブルなんじゃないですか?
だとしたら、散々バブルを笑っている著者自身が、自分がバブルを助長している事に気づいていない皮肉。
「ネットの女王」「ヘンリー大王」「テレコムの導師」と変わらない事をしており、インデックスファンドバブルが弾けたら同じように糾弾されそう。
ただし、この度のコロナショックをも乗り越える事(景気に関係なく株価の長期低迷をもたらさなければ)が出来たら、インデックスファンドはバブルではないって事になると思います。

一点気になったのは、著者の考えだと、
ファンダメンタル価値=正しい価格=効率的価格
って読めたけど、実際は
ファンダメンタル価値=正しい価格
効率的価格=全てを織り込んだ価格で正しい価格とは限らない=例えバブル価格であってもその時には効率的価格

だと思うんだけど・・・


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