営業レバレッジ | エナフンさんの梨の木

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ピーターリンチをお手本とした初心者でもできる長期投資法を日々研鑽しています。

ウイズコロナの好決算ぶりに驚かれている方も多いかもしれませんね。利益の伸びが2ケタ増は当たり前で、3ケタ増も結構あります。私の保有株ではホームセンターのアレンザHDや電子書籍のイーブックイニシアティブJが3ケタ増。金曜日に発表のあった省エネ・再エネ関連のグリムスは営業益ベースで+80%でした。

 

さて、だからといって、これらの企業の売上が3ケタとか80%とか増えたわけではありません。売り上げの伸びよりも、はるかに大きく、利益が伸びたのです。この原因は、営業レバレッジです。(グリムスは別因も大きいですが…。)

 

バリュー投資やグロース投資など、ファンダメンタルズに基づいて長期投資をするのであれば、どうしても会計の勉強をしなければいけません。別に税理士や公認会計士レベルの知識習得の必要はありませんが、変動費、固定費いう言葉を聞いて、その概念を正確に理解できている必要があります。

 

変動費とは、売上と連動する経費の事です。必ずしも売上原価の事ではありません。販売管理費にも変動費は含まれます。

 

次の資料は、先日発表されたイーブックイニシアティブJの決算補足資料の一部ですが、私が青色でパーセントを記入している部分が、変動費といえます。

 

売上原価は昨年の1Qも今年の1Qも、売上に対する比率は63.3%と変わりません。パーセントは変わりませんが、売上と連動して、金額は大きく増えています。

同様に、外注費や支払手数料も概ね昨年1Qとほぼ同じ比率で変動していますね。それぞれ15%前後と5%前後となります。若干揺れるのは、おそらく取扱商品によって必要な費用の割合が異なるからです。たまたま、売上原価はほぼ同じ%でしたが、同じの理由で多少は揺れます。

 

で、残りが固定費ということになります。売上の増減に関係なくかかってくる費用です。ここでは、広告宣伝費や人件費がそれに当たります。

固定費の中にはビルの家賃や従業員の給料など儲けようが損しようがかかってくる経費と、ここにある広告宣伝・販売促進費のように、戦略的に経営判断で増減させるものと2種類あることを知って下さい。

 

CVP分析といいますが(簿記2級の範囲)、原則的には下のようになります。

オレンジ線の売上は+50%でも、赤で書いた利益棒線は+100%、つまり、2倍に増えるわけです。

まずはこの原理を知ってください。この原理を営業レバレッジと言います。

 

ただし、ウイズコロナで一時的に儲かりすぎると、会社も後が大変なので、その一部を来期以降につながるよう、戦略的な固定費(ここでは広告宣伝・販売促進費、他にはシステム増強やアプリの改善などが考えられる)を増加させ、利益を調整しているようにも見えますし、今こそ稼ぎ時と勝負を仕掛けているようにも見えます。

 

我々長期投資家は、儲かっても損してもかかる固定費と、このような戦略的な固定費を区別して考えます。どの企業もその辺をはっきりとは教えてくれませんが、戦略的な固定費を増加させている企業は、もし、急な環境変化があった時、それらを減らして利益を残すこともできますし、過去につぎ込んだ戦略的固定費が次期以降の利益拡大につながりますので、その分、余裕ができます。

 

企業は、時々、赤字覚悟で戦略的な固定費を大きくかけて勝負を仕掛けることもあります。それを見て、利益が出ていない、と勘違いして売ってしまう投資家がいますが、そういう時こそ、未来の収益を想像する力が必要となります。

 

「これは儲かっていないのではない。経営者が勝負をしかけているだけだ。」と判断できるなら、あなたも勝負を検討してみましょう。

「一見、PER30倍と割高に見える投資対象が、実は振り返ってみると、PER10倍以下で買えた。株価は大上昇!!」といった成功を収めることもできるようになるでしょう。

(実はイーブックイニシアティブJもそれに近い状況にあった)

 

長期投資で勝ちを積み上げたいなら、少々は財務分析に対する努力が必要になります。ただし、その努力は会社で働く苦労や受験勉強で難関大学に受かる苦労などと比べると、圧倒的に小さな努力です。

 

「そこに大儲けのチャンスがあるんやから、ちっとは勉強せい!!」

 

時々、そんな風に思うことがあります。

 

会社勤めで月給30万円の人が、100万も200万も儲かる(もしくは損するかもしれない)勝負をするのであれば、3か月とか半年とか一生懸命仕事するのにも匹敵する努力をして、ようやく力配分としては、吊りあうはずなのですが、どういうわけか、株だけは直感でやる人が多すぎます。

 

だから、私のような素人投資家でも、毎年毎年、何度も何度も、勝たせてもらえるのではありますが・・・。

 

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当ブログは、長期投資法について解説することを主目的としています。

その中で、参考資料として特定の企業や市場動向についても情報を提供しますが、

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また、このブログでとりあげる個別銘柄への長期投資法は

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