市場に存在する消費者に対して、自社のプロダクツやサービスを直接的に販売するよりは、興味を示す人々を集めることの方が簡単であることについて、先にふれています。消費者の立場において、購入とはお金を支払うことであり、ある種の決断を迫られることになります。しかしプロダクツやサービスに興味がある消費者を集う場合、消費者側になんら決断は必要ないからです。
このため、直接的な販売対象を集めるよりは、興味がある消費者を集める方が、容易であり、その分コストも少なくて済むはずです。
また、興味のある消費者の中には、いずれ自社製品に強い興味を持ち、購入行動へと発展する可能性を持つ客も存在することでしょう。よって興味がある消費者は、見込客としてキープすることで、後々の売上に貢献してもらえる可能性があります。
ただし、興味を持つ消費者のすべてが、購入を決定してくれるかというと、それほど簡単なものではありません。なぜなら、興味の原点が、人それぞれ異なることが少なくないからです。
たとえば、ある製品に興味を示した消費者であったとしても、それは同業他社であるかもしれません。また、何らかの研究においてその情報を欲していただけであり、商品を購入したいとは考えていない人もいるかもしれません。さらには、すでにその商品を所有しており、単に便利な使い方を知りたかっただけかもしれません。何も考えずに、顧客を集めるためのキャンペーンに応募しだだけかもしれません。このように、興味を示した消費者の事情は、人それぞれ異なるわけです。
しかしながら、この中に、今後自社製品の購入に至る可能性を持つ消費者が含まれる可能性は十分にあります。よって、見込客を顧客へと変える戦略を持つことで、広く存在する興味対象の中からも、売上に貢献してくれる人を見つけ出すことができるはずです。
●見込客を顧客へと変えるために
さてでは、見込客を顧客へと変えるには、どのような戦略を用いればよいでしょうか。
これには、定期的なコミュニケーションを施すことにより、徐々に見込客から顧客へと、ステップアップさせるための何らかの手法を用いる必要がありそうです。
見込客に購買行動を起こさせるためには、購入までのハードルをできうる限り下げてあげることが重要になります。また、同時に見込客に対しての真のニーズやウォンツを煽り、消費行動へと結びつけることも必要となるでしょう。
まずハードルを下げるための取組みですが、これには、興味対象となる情報を、できうる限り提供することです。たとえばステップメールなどを用いて、定期的に情報を発信することができれば、興味のある消費者はこれを読み進めることでしょう。
すると、発信者に対して持つ不信感が払拭され、より近しい存在として認識してもらえるようになります。この状況を作り出すことができれば、初めて接触した消費者にモノを売るよりも、数段容易に商品を販売することができるはずです。
また、コミュニケーションを図る上で、顧客の真のニーズやウォンツを聞きだす機会があれば、次に情報発信をする際に、その情報を提供するとともに、ウォンツの向こう側に製品の存在を提示することで、より高い反応を示してくれるようになるものです。
この段階までくれば、あとは決断のためのアプローチを、何らかのイベントを用いて見込客に提示するだけで、無理なく購買行動を起こしてくれるはずです。
このように、当初は見込客として、自社製品に興味を示す人を常に集め、その人々にさまざまな情報提供をすることで、ある一定割合において、見込客から顧客へと移行してくれる人が現れることでしょう。
一度顧客となっていただけたなら、あとは、アップセールやクロスセール手法において、既存客からのリピートや、その他の製品の売上機会を作り出すことも可能となります。
そして、これら一連の消費者の行動や消費者に対するアプローチを、モデリングすることで、顧客が枯渇したり、売上が不安定となることなく、安定した売上を確保しつづけることが可能となるわけです。