写真=Twitter
前半、斜め45度30mほど離れた位置からのFK。
古島啓太が放ったボールは美しい弧を描き、ゴールに吸い込まれた。
後半早々に同点とされたものの、試合終了2分前に吉野勇樹が決勝弾を決め、試合終了のホイッスル。
トルコで開催されている、聴覚障害を持ったアスリートの4年に1度の大舞台、デフリンピックにて、ろう者サッカー日本代表が歴史的勝利を収めた瞬間だ。
前回大会準優勝の強豪ウクライナ相手に、デフリンピックリーグ予選日本初となる勝利を掴んだ。
その後2回戦のアルゼンチン戦では2-2の引分け、そして最終節のイタリア戦では2-3と惜しくも敗戦、予選リーグ突破にはあと一歩のところで届かなかったものの、強豪揃いのグループ素晴らしい戦いを見せてくれた。
実は、ウクライナ戦でFKを決めたキャプテン、古島啓太と私は、中学時代のチームメイトである。
3年間の間にチームメイトの半数がやめていくような厳しいチームだったが、古島啓太は補聴器をつけながら厳しい練習を乗り越えていた。
監督やチームメイトの指示が聞こえにくく、コミュニケーションが必須なサッカーは難しいことが多かったはず。そんな中でも、彼はいつも陽気で、よくつまらない冗談を言っていたことを覚えている。
古島選手の父も良く覚えている。
大のサッカー好きで、熱狂的なチームサポーターの1人であった。どこの試合会場にも必ず足を運び、試合後にはダメ出しをして古島選手がへこんでいるというのは良くある光景だった。
だが、今回のFKはさすがに古島父からも褒められたのではないだろうか?
しかしながら、ろう者サッカーを取り巻く環境は厳しいのが現状。
日本代表の選手も、様々な企業や業種に就きながら休日を使って練習に励むという日々を送っており、遠征や合宿のための休暇が取れず、日本代表を離れざるを得ない選手も。
JDFA(日本ろう者サッカー協会)では、そんな厳しい環境の中戦う、ろう者サッカーを応援するサポーターを募集している。
今後のろう者サッカー発展のためにも、ぜひ1度WEBサイトにアクセスしていただきたい。