長期投資をしていると、とても頭が悪いように見えるときがあります。
一つは暴落局面で、「馬鹿みたいにじっと握り続けるんじゃなくて、いったん利確して、下がってから買えばもっと儲かった。下落することは予想できたのに…。」といった時でしょう。
「高値で売り抜け、底値で買い直す」人がカッコいいと思い込んでいるから、こういう発想になるのですが、実際に素人がそれをやろうとすると、かなり高値から下がったタイミングでようやく損切りができ、反対に買い戻すのは、かなり底値から上がったタイミングとなってしまい、後で振り返ると、ずっと握り続けているのと大差のない結果をもたらすことも多いのです。
よく、買いの好機と言われる、前回高値をブレイクしたタイミングなんてのはまさにそれで、同じ銘柄で、それを繰り返すくらいなら、じっと持ち続ける方が実は儲かります。
まぁ、高値で売って、次の高値をブレイクするまでの間、他の方法に資金を振り向けることで儲けられるだろう。というのがこの投資法を採用するグループの主張なんでしょうけど、そういうのを繰り返せば繰り返すほど、企業の成長や割安さといったファンダメンタルズからはどんどん目が離れていき、需給と心理戦の泥沼に足を踏み入れてしまうわけです。そのジャンルには、天才短期トレーダーやAI、大金を動かすプロ連中が待ち構えていますので、素人投資家は、ただのカモと言えるでしょう。
(前回高値を抜いた瞬間を狙い撃ちで空売ってくるケースもよく見かけますよね)
結局のところ、暴落があろうがなかろうが、成長する企業は成長を続けるわけですから、実は儲けは変わりません。
もし、暴落がない場合、A地点で買って、B地点で売れば、3倍の儲けがあったとします。
ところが、中国の不動産バブルが崩壊し、金利上昇の影響で米国のハイテク株が売られ、日本の総裁選が終わって材料出尽くしとなったとか何とかを理由に、結構な暴落が起こってしまい、株価は赤色のコースを辿ったとしましょう。けど、A地点からC地点を経由してB地点で売ったとしても、あなたの儲けは3倍です。
当初の見込みと何も変わらないのです。
私はいつもこの考え方をベースにしています。
ただ、C地点がA地点よりお買い得であるのは間違いありません。そこで、本当に暴落が発生すれば、他で遊ばせているお金を株式市場に再投入したり、場合によっては20%を限度に信用取引で買いを入れたり、あるいは、今持っている株を総点検し、それと比べて、もっと上がりそうな株に乗り換えたり、というオペレーションを実施して、利益の上積みを狙うのです。
過去の私のブログを読まれると分かると思いますが、「何とかショック」と呼ばれるような大暴落局面において、私はかなり高めのテンションで記事を書いています。嬉しいんですね。ビッグチャンスが…。もちろん、その時点では含み益をずいぶん減らしているわけなんですが、それ以上にチャンスが広がっていると判断するのです。
株って、買い向かっている時が一番楽しいですもんね。それが暴落局面なら、なおさらです。