米ニュースサイトのボックス(Vox)は16日、暗号資産取引所FTXの元CEOサム・バンクマン-フリード氏の衝撃的なインタビューを発表した。

バンクマン-フリード氏は、取引所の顧客の資産と、彼が立ち上げたヘッジファンド、アラメダ・リサーチ(Alameda Research)の資産を混ぜたことを認めるも同然の発言をした。FTXの規約に違反しているだけでなく、有線通信法や証券取引法に違反する可能性も高い、大問題である。

「(顧客の資産を)貸し付けに使っていたことではなく」、もっと「入り組んでいて」、「より有機的」そして「合理的」なバンクマン-フリード氏の犯した罪は、取り付け騒ぎによって最大100万人のFTXユーザーが資産にアクセスできなくなったことによって、さらに深刻なものとなった。何十億ドル相当もの暗号資産が失われ、FTXとアラメダでの「お粗末な会計」については、いまだに実態の解明が続いている。

バンクマン-フリード氏は現在、顧客へ資産を返すために、80億ドルの資金を調達しようとしている。そのプロセスがどんなものになるのかは、誰にも分からない。バンクマン-フリード氏は、コメントの求めに応じなかった。

しかし、調達しようとしている金額は、かつては評価額320億ドルで、今では米連邦破産法11条による破産の手続きが続く同社が過去に調達した金額よりも、はるかに大きいのだ。ちなみにバンクマン-フリード氏は、CEOを辞任している。

バンクマン-フリード氏が運命の逆転を実現できると考えていることは、現実との深いずれを露呈している。彼は顧客、そして投資家に対して、繰り返し公に嘘をついてきたのだ。彼に対する信頼は失墜し、刑事告訴をされる可能性が高い。かつて「世界最高の資金調達者の1人」であったと考えていたとしても、彼の成功は、魅力攻勢と嘘に基づいていたのだ。

FTXの投資家には、セコイア・キャピタル(Sequoia Capital)やライトスピード・ベンチャーズ(Lightspeed Ventures)、コインベースのファンドなど、上等なファンドも多く含まれていた。

どうやら誰も、デューデリジェンスを実行していなかったようだ。セコイアに至っては、バンクマン-フリード氏が会議中にゲームをしていたのを知っても尚、投資に踏み切った。そのような緩さは、なくなるだろう。

もちろん例外もいる。著名投資家で、FTXから報酬を受け取ってスポークスパーソンも務めていたケビン・オレアリー(Kevin O’Leary)氏は、再びバンクマン-フリード氏に賭けても構わないと発言。これは恐ろしいことだ。

復活を狙う

バンクマン-フリード氏はおそらく終わりだが、同じことをしようとしている同輩たちがいるのだ。評判を回復し、資金を調達し、「英雄の物語」を再び始めようとしている人たちだ。

テラ(Terra)の創業者ドー・クォン(Do Kwon)氏、スリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)共同創業者のスー・チュー(Su Zhu)氏とカイル・デイビス(Kyle Davies)氏はここ最近、メディアに再登場している。

バンクマン-フリード氏の隆盛と失墜についてコメントする専門家として扱われているのだ。何十億ドルもの損失を出したチュー氏とデイビス氏は、新しい暗号資産投資ファンドを立ち上げようとしているとまで報じられている。

この3人は皆、司法の手から逃亡中であり、当局に協力していないと批判され、現在は身柄の引き渡しの心配がない国に滞在している。彼らはどうやら、バンクマン-フリード氏がLUNAバブルを崩壊させ、それがスリー・アローズも巻き込んだというストーリーを組み立てたようだ。

しかし、自らを被害者に仕立て上げようとする彼らの試みの内容の薄さは、すでに露呈し始めている。チュー氏は、元FTX従業員で内部告発者のゼーン・タケット(Zane Tackett)氏を、スリー・アローズに対する陰謀を企てたと不当に非難しながら、重要な詳細部分を間違えている。

さらに、民主党が(多額の寄付をしてくれた)バンクマン-フリード氏と共謀して、司法の裁きを逃れる手助けをしているとさえも、陰謀論を展開しているのだ。

テラの創業者クォン氏の方は先週、人気ポッドキャスト「Up Only」に驚きの出演を果たし、「危機管理」についてのアドバイスをするのに適任ではないと、自ら冗談を飛ばした。

クォン氏と共に出演したのは、重罪で有罪判決の確定しているマーティン・シュクレリ(Martin Shkreli)氏。彼はバンクマン-フリード氏とクォン氏はおそらく刑務所に行くことになるだろうが、それほどひどい所ではないから心配するなと語った。

「Pharma Bro」の別名で知られるシュクレリ氏は、薬の価格を吊り上げた罪で収監されたが、その後暗号資産の世界で名を馳せることとなり、復活を果たした人物の例としてはピッタリだろう。

クォン氏、デイビス氏、チュー氏、あるいはバンクマン-フリード氏も、有罪判決を受けて刑期を全うした後なら話は別だ。そして彼らは、公平な裁判に値する。しかしそれまでの間、彼らはメディアに姿を現すべきではないだろう。

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/165962/ 

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